No More Retake

3DCG屋さん向けTips&Referenceサイト

メニュー

Houdini:表紙メイキング

現在発売中の、拙著「Houdini ビジュアルエフェクトの教科書」の表紙メイキングをご紹介します。


当初、”本の空いたページにこのメイキングの内容を入れようか”、という話もあったのですが、結局入れられなかったので、当サイトでの掲載と相成りました。

タイトルとか、帯とかを全部外すと表紙はこんな感じです。

Houdiniっぽさと、シンプルな見た目を心がけたつもりですが、どうでしょう。

作業画面はこんなです。

このアートワークは、大きく分けると3つの要素から構成されています。

柱状の縦長渦(左画)、画面手前に迫ってくる帯渦(中央画)、その他(右画)。
以下、簡単な作り方を紹介してゆきます。

柱状の渦

たくさんのラインを用意してTwist(SOP)で捻じる、です。これだけ!

もうちょっと詳しく
①Houdini標準の豚モデルを元に作り始めました。

②ボリュームに変換し、濃度にバラつきを持たせます。

③ボリュームのバラつきを元にポイントを作成。みんな大好きScatter(SOP)です。

④ポイントを増やす&色とか付ける。増やすのにはPoint Replicate(SOP)使いました。

⑤ポイントの位置にラインをコピー!

⑥捻じる!

このラインの束を捻じる手法、適当に作ってもそこそこカッコいい絵が作れます。
当初、こんな感じの絵も表紙候補で作ってました。

これも基本同じ手法です。
ただ、こっちは直線じゃなくて曲線を捻じったものです。

ボリュームの速度情報をVolume Trail(SOP)で可視化したものをTwist(SOP)で捻じるとこうなります。
捻じったあとに、長さや大きさを調整していますが、だいたいそんな感じです。
色はBlack Bodyで付けてます。

手前に迫ってくるヤツ

元形状はL-systemで作ったグルグルです。
これを増やして、バラして、一部メッシュ化して、といろいろやってます。

もうちょっと詳しく

①L-syatemからグルグル作る。
クロソイド曲線のようなのを作りたくて。この種の曲線は手で描くよりも、ルールや式に則って作るのが綺麗に描けます。ここでは、L-systemがもっとも楽だと思って使いました。

②曲線を増やす。
あれやこれやして、図のように曲線を増やしてます。中心は密度が高く、外に行くに従って密度が低くなってます。

③色を付けて、立体的な配置にする

④一部のラインを元に、厚みのあるメッシュを作る。表紙では、赤と金色のテカテカしたのがコレです。

ちなみに良く見なくても分かるのですが、中心の縦長渦とは回転が逆向きなのです。
深い意味はありません。

その他

賑やかし素材です。

ラインのある近辺だったりに、ポイントを配置しているだけです。
大きい球体は手でひとつずつ配置してます。アナログです。
作りたいものがある程度イメージ出来ていて、且つそれがルール化し難い場合は、プロシージャルに拘らないほうが結果として効率的な場合もあります。
ここでは「イイ感じに配置」したかったので、イイ感じに手で配置します。


そんなこんなで、メイン画像やら背景やら、幾つか素材を出して、合成したのが本書の表紙になります。

こうして要素ごとに見ていくと、結構シンプルなつくりで、「私にも作れちゃいそう」って思いませんか?
できますよ、たぶん。

合成作業もすべて、Houdiniで行っています。
Houdiniでの画像合成については、本の中の作例でも少し触れています。
被写界深度つけたりとかね。

ちなみに、表紙と裏表紙合わせて一枚絵にする案も当初ありました。
なので画面の外側も少しだけ意識して作ってたのです。
こんな感じ。

結局、現在の表紙に落ち着きましたが、これはこれで悪くなかったな、と。

 

謝辞と余談

はじめに、「動きを感じる絵」「空間を感じる絵」のお題を担当編集者さんから頂きまして作った記憶があります。
何種類か作った中から、最終的に2案に候補を絞り編集者さんにお見せして、結果この絵が表紙と相成りました。
没ったけどもう一案も悪くないので、近々メイキング記事にしようかと考えています。

表紙を作るというのは初めての経験だったので、絵作り以外のとこでもいろいろ考えました。
「このレイアウトならタイトルは上、もしくは下に入るはず」とか、
「全体的に暗いか?いやこれならタイトルが明るい色になるはずだから、結果コントラストが効いて目立つ」とか、
「もう分からんなってきたから、これでいいや~」とか、
いろいろ考えて作ったのですが、結果的に良い表紙が出来たと思っています。

タイトルのデザインやレイアウト等は、担当のデザイナーさんが作ってくださいました。
本の最後の方のページでそのあたり確認できます。
この場を借りてお礼を申し上げます。
ありがとうございましたm(_ _)m


最後に

最後に、この表紙のシーンファイル(非商用版)をサンプルとして提供します。
さすがに表紙を作ったシーンファイルそのものは提供できませんが(市販のHDR素材使ってたり等するので)、提供出来る範囲でのシーンファイルです。
でも大体表紙のそのままです。

注意事項としましては二次配布、商用利用等は禁止です。
またレンダリングした画像を、加工公開する等の行為もお控えください。
利用は、あくまで学習や参考としての範囲に留めてください。
この範囲の利用において、このサンプルシーンが用いられる事を、当サイトは歓迎します。

It provides this scene file.
I welcome that this scene file will be used for learning and reference.
notes:
Redistribution prohibited」「Non Commercial use」「No Publish render images」

HoudiniBook_MakingSampleA.hipnc


そんな表紙が目印の拙著「Houdini ビジュアルエフェクトの教科書」現在発売中です。

追記

本を購入された方、もしよろしければAmazonのレビューに感想やご意見を書いていただけるとうれしいです。
ちゃんと世間のニーズを満たしているのか、それとも外しているのか、とかいろいろ気になるものでして。

面白かった、つまらなかったなど、何らかの反応があると励みになります。

関連記事

コメントをお待ちしております

このサイトについて

3DCG Tipsサイト。Houdiniの記事が多めです。

RSS

follow us in feedly

Archives

  • 2024 (4)
  • 2023 (2)
  • 2022 (9)
  • 2021 (14)
  • 2020 (46)
  • 2019 (17)
  • 2018 (33)
  • 2017 (29)
  • 2016 (36)
  • 2015 (64)
  • 2014 (54)
  • 2013 (60)
  • 2012 (55)

スポンサードリンク

言語切り替え

  • English (United States)
  • 日本語

スポンサードリンク

言語切り替え

  • English (United States)
  • 日本語

Houdiniを使えるようになる本